灰羽連盟

通常ならたぶん見ないタイプの初期キャラ配置の作品だっただろう。女の子ぞろぞろ。のみ。
後輩の強力なプッシュがあり、NIA_7がすごく面白かったこと、割と状況的に某GGGに近かったこと(理不尽な超常事態に翻弄される稀少存在の女の子たち?………これで説明として妥当か?)もあって、見ることになった。
序盤から鬱展開だったら逃げ出していたかもしれない。
だが、その作品は、うらやましいほどの「古き良き」幸せぶり――あれで自分の子供時代を思い起こさないものがいるのか?――と、世界の空気感を出すための、細かい描写の作り込みという、「癒し系」の面構えで始まった。(フリ、という表現は失礼にあたるだろう、事実中盤までは「癒し系」と断言してよい)
ブレンパワードの3話を見て以来、そういう空気感に飢えていたわけで、もちろん見続けた。
あらかじめ展開がシリアスになっていくと知っていたが、ここまでビビッドに主人公たちの心情が伝わってくるとは想像していなかった。身構えていなかったので、やられた。
結局、似てるのだ――あのお人好しぶりも。将来への不安も。幸せな「今」に対する不安も。罪悪感も。――
永の別れのときの心も。
自分を追いつめる姿も。
友を思う心も。
そして逆に、打算も。打算の罪悪感も。
あまりにも生々しく、普段押し隠して流し去って日々を生きている、根っこを映されたわけで。
相当の衝撃を受けた。
冷静に考えれば、この忙しい時期に見てはいけなかった作品に分類される。影響力が強すぎて、危険すぎる作品。
そういう意味で、私にとっては特別な位置にくる表現をしてみせてくれた作品である。
絶対評価のもとでどのくらいの良作にあたるかどうかは判断できない。私に起きた心理効果と、ほかの人に起きる心理効果が同じとは限らないから。
………そういう作品。