ホームの柱のすごく低いところに蝉がとまって「じぃぃぃぃ、」と鳴いていた。
近寄っても逃げようとせず、鳴き続けていた。
写真を撮ったあと、またひととおり長く鳴いて、ポロリ、と柱から仰向けに落ちた。

彼はくぃくぃっ、と足を動かすけど、起きあがることが出来ない。羽はぴくりとも動かない。

私は、ああ、もう飛ぶ力がないんだな、と悟った。

もう秋ですね。
彼のように、せいいっぱいすべての力を尽くしてから人生を果てたいものです。